空飛ぶランサー

モットーは、いかに楽して料理を作るか

反抗期の終わり

中学生の頃、僕は反抗期真っ盛りだった。

夏休みのある日、僕は父が買ってきたチーズバーガーにキレた。

「なんでダブルチーズバーガーじゃねぇんだよ!」そんな理由だった気がする。

反抗期特有の勢いで椅子を蹴った。今の蹴りは様になったぜ!アホな中学生である。

感情が高ぶっているせいか、痛みはあまり感じなかった。

ところが、平常心に戻るうちに、徐々に痛みが増してきたのだ。

右足を触ってみると、腫れていて熱を持っている。湿布を貼って様子を見たが、激痛で歩けなくなってしまった。情けないことに、父の車で整形外科まで送られたのである。

「今日はどうされましたか?」と、医師は優しく聞いてくる。

僕は、「階段から落ちまして…」とごまかした。椅子を蹴ったら足が痛くて…とは言えなかったのだ。

「あぁ…そうですか」と、医師もプロである。多分レントゲンの画像や足の腫れを見て、僕の嘘はバレていたと思う。

咄嗟についた「階段から落ちた」という嘘。それは、当時読んでいた、司馬遼太郎の『新撰組血風録』の影響だ。池田屋事件の階段落ちなんて、足の骨折どころじゃ済まされないんだが。

夏休み明けには、松葉杖無しでも歩けるようになったが、包帯は外れていなかった。

自然と、クラスメイトから事情を聞かれる。「実は階段から落ちてさぁ…」とまたしても嘘をついた。「どうやったら階段から落ちるんだよ」と笑われた。その後も「その足どうした?」と聞かれる度に、

「階段から落ちて…」「階段から落ちて…」「階段から落ちて…」と嘘を重ねる自分に疲れてしまった。

 

9月の中旬、僕の反抗期は終わった。